持続化補助金が採択された、自治体の創業支援金が入金された——うれしい反面、「これって税金かかるの?」「帳簿にどう書けばいい?」と手が止まる人は多いはずです。

結論はシンプルで、事業に関する補助金・助成金は所得税では課税対象、でも消費税では不課税。この「非対称」を押さえれば、記帳も申告も迷いません。この記事では、勘定科目・計上のタイミング・消費税の扱い・パソコンや機械を買ったときの特例まで、個人事業主・フリーランス向けに一通り解説します。

⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助金・給付金の課税関係は制度ごとに根拠が異なります。個別の判断は税務署・税理士、または各制度の公式案内でご確認ください。

補助金・助成金は原則「課税」——申告しないと計上漏れになる

「国からもらったお金だから税金はかからない」と思われがちですが、逆です。事業のために受け取る補助金・助成金は、事業所得の収入(総収入金額)に含めるのが原則。売上と同じく、確定申告の対象です。

受け取ったお金 所得税 備考
小規模事業者持続化補助金 課税 販路開拓等の経費補填。雑収入で計上
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) 課税 ソフトやPCの購入なら固定資産の特例(後述)も検討
自治体の創業支援金・家賃補助 課税 事業関連なら国・自治体を問わず課税が原則
雇用調整助成金などの雇用系助成金 課税 人件費の補填。収入計上して人件費は経費のまま
法律で非課税と明記された給付 非課税 例: 特別定額給付金(2020年・全国民一律10万円)。制度の公式案内で確認

ポイントは、「経費を補填してもらったから収入ではない」という理屈は通らないことです。補助対象の経費は経費として計上し、補助金は収入として計上する——両建てが原則です(収入と経費が両方立つので、差し引きの所得への影響は補助率に応じた分だけになります)。

記帳のしかた——勘定科目は「雑収入」、計上日は「交付決定日」

記帳は次の2点だけ覚えれば足ります。

📒 補助金の記帳ルール

① 勘定科目 雑収入
② 計上するタイミング 交付決定日(入金日ではない)

売上高ではなく雑収入を使うのは、本業の対価ではないお金だからです。青色申告決算書でも収支内訳書でも「その他の収入・雑収入」の欄に入ります。

もうひとつの落とし穴が計上のタイミング。所得税は「お金を受け取る権利が確定した日」を基準にするため、入金日ではなく交付決定(支給決定)の通知日で計上します。

⚠️ 年またぎに注意:12月に交付決定 → 翌年1月に入金、というケースでは決定した年の収入です。入金された年に計上すると計上時期の誤りになります。逆に、申請中でまだ決定が出ていないものは、入金がなくても収入に含めません。交付決定通知書は日付の証拠になるので必ず保存してください。

消費税は「不課税」——免税判定・2割特例の売上に含めない

ここがこの記事でいちばん間違いの多いポイントです。補助金・助成金は、商品やサービスを売った対価ではありません。対価性のないお金なので、消費税の世界では「不課税取引」になります。

実務への影響は次の3つです。

つまり、所得税では収入に入れる/消費税では入れない。同じ入金を2つの税で別々に扱う、という非対称を覚えておけば混乱しません。

パソコン・機械を買った補助金は「総収入金額不算入」の特例が使える

デジタル化・AI導入補助金でソフトやPCを買った、ものづくり系の補助金で機械を導入した——固定資産の取得に充てた補助金には、課税を和らげる特例があります。

法人には「圧縮記帳」という制度がありますが、個人事業主は圧縮記帳を使えません。代わりに使えるのが所得税法42条の「国庫補助金等の総収入金額不算入」です。

💻 例: 30万円のPCを、20万円の補助金+自己資金10万円で購入

特例なし: 雑収入に計上 収入 +20万円
特例なし: 減価償却の基礎 30万円
特例あり: 収入に算入しない 収入 +0円
特例あり: 減価償却の基礎 30万 − 20万 = 10万円

特例を使うと補助金20万円がその年の収入から外れる代わりに、減価償却の基礎も補助金を差し引いた10万円に下がります。「一度に課税されるか、償却費の減少というかたちで少しずつ精算するか」の違いであって、税金が消えるわけではない点は理解しておきましょう。

経費側の処理——補助対象の経費も、ふつうに経費でよい

「補助金で払った分は経費にできないのでは?」という疑問もよくありますが、補助対象の経費も通常どおり経費計上してかまいません(前述の両建てです)。チラシ印刷代・広告費・外注費などは支払った日に、いつもの勘定科目で記帳します。

注意が要るのは次の2つだけです。

なお、これから補助金を探す段階の方は、姉妹記事「フリーランス・個人事業主が使える定番補助金と探し方」で定番制度と情報源をまとめています。

よくある質問

白色申告でも補助金の扱いは同じですか?

同じです。事業に関連する補助金・助成金は白色申告でも事業所得の収入(雑収入)として収支内訳書に含めます。消費税が不課税である点、収入計上のタイミングが交付決定日である点も青色・白色で変わりません。固定資産を購入した場合の総収入金額不算入の特例も、確定申告書に明細書を添付すれば白色でも適用できます。

交付決定は12月、入金は翌年1月でした。どちらの年の収入ですか?

原則は交付決定(支給決定)があった年の収入です。所得税は「収入すべき権利が確定した日」を基準にするため、入金日ではなく決定日で判定します。12月に決定し翌年1月に入金された場合は、決定した年の雑収入として計上し、入金時には既に計上済みの売掛金等の回収として処理します。年をまたぐケースは二重計上・計上漏れが起きやすいので、決定通知書の日付を必ず確認しましょう。

補助金は消費税の課税売上高1,000万円の判定に含まれますか?

含まれません。補助金・助成金は商品やサービスの対価として受け取るお金ではないため、消費税では不課税取引です。免税事業者かどうかを判定する課税売上高にも、簡易課税やインボイスの2割特例の計算にも含めません。所得税では課税、消費税では不課税という非対称を混同しないことが重要です。

補助金で買った30万円のパソコンの減価償却はどうなりますか?

総収入金額不算入の特例を使った場合は、取得価額から補助金充当分を差し引いた残額を基礎に減価償却します。例えば30万円のパソコンに20万円の補助金を充てて特例を適用すると、償却の基礎は10万円になります。特例を使わない場合は補助金を雑収入に計上したうえで、30万円全額を取得価額として償却します。どちらが有利かは所得状況によるため、迷ったら税務署・税理士に確認してください。

過去の給付金(持続化給付金など)も課税でしたか?

事業者向けの給付金は原則課税でした。持続化給付金・家賃支援給付金・雇用調整助成金などは事業所得等の収入に計上する扱いです。一方、全国民に一律給付された特別定額給付金(10万円)のように、法律で非課税と明記されたものは申告不要でした。課税か非課税かは制度ごとに根拠が異なるため、受け取った給付金の公式案内で確認するのが確実です。

補助金の記帳も、実績報告の証憑も、日頃の帳簿から

補助金まわりの処理は、結局「雑収入で1件記帳する」「領収書を残す」「決定通知書を保存する」の3つに集約されます。どれも日頃の記帳がまわっていれば数分で終わる作業です。

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