補助金は、申請した人にしか支払われません。つまり「制度を知っているかどうか」がそのまま受給の差になるお金です。そして残念ながら、あなたに合う補助金を誰かが教えに来てくれることはありません。

この記事では、「◯◯補助金 最新15選」のような一覧はあえて作りません。補助金は公募のたびに金額も締切も変わるので、まとめ記事の情報はすぐ古くなるからです。その代わり、毎年のように公募される「定番」の押さえ方と、いつでも最新情報にたどり着ける「探し方の4ルート」という、腐らない知識をまとめます。

⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。各制度の対象者・金額・締切は公募回ごとに変わります。必ず公式の公募要領を確認してください。

まず押さえる「定番」——毎年のように公募される制度

国の補助金は無数にありますが、フリーランス・ひとり事業主が現実的に使えるのは実はそれほど多くありません。まずはこの定番から自分に関係あるものを見つけるのが早道です。

制度 こんな人・こんな用途に向く
小規模事業者持続化補助金 個人事業主の定番中の定番。チラシ・Webサイト・広告・展示会出展など販路開拓の経費を補助。商工会議所・商工会と一緒に経営計画を作って申請する方式で、創業まもない人向けの枠が設けられることも多い
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) 会計ソフト・予約システム・ECなどITツールの導入費を補助。2026年度から旧「IT導入補助金」が名称変更された制度で、インボイス対応のツール導入を後押しする枠もある。登録ベンダー経由で申請する方式
ものづくり補助金 設備投資・試作開発など比較的大きな投資向け。個人事業主も対象だが、事業計画の作り込みが必要で難易度は高め。設備が要る製造・加工系の人は検討の価値あり
自治体の補助金・支援金 創業支援金・家賃補助・展示会出展補助・ホームページ作成補助など、市区町村レベルの小さな制度が意外と多い。競争率が国の制度より低いことも。都道府県・市区町村のサイトで「(自治体名) 補助金 事業者」で検索
雇用系の助成金 従業員を雇っている場合のみ。キャリアアップ助成金など厚労省系は「要件を満たせば原則もらえる」タイプ。ひとり事業主のうちは対象外と覚えておけばOK
⚠️ 金額・締切をこの記事に書かない理由:補助上限や公募期間は公募回ごとに変わります。ネット記事の古い数字を信じて計画を立てるのが一番危険です。制度名を知ったら、必ず「制度名+公募要領」で検索して公式の最新版を見る習慣をつけてください。

探し方の4ルート——ここを見れば取りこぼさない

定番以外も含めて「いま募集中の制度」を探すときは、次の4ルートを押さえれば十分です。

① ミラサポplus(中小企業庁)
国の中小企業・小規模事業者向け支援の総合サイト。「制度ナビ」で業種・目的・地域から補助金を絞り込み検索できます。まずここで全体像をつかむのが定石。
② jGrants(補助金の電子申請システム)
国の補助金の電子申請ポータル。募集中の補助金を横断検索でき、申請もここから行います。利用にはGビズIDが必要で、ID発行に時間がかかるので申請予定がなくても先に取っておくのが実務の知恵です。
③ 商工会議所・商工会・よろず支援拠点
持続化補助金の申請窓口であると同時に、地域の制度情報が集まる場所。経営相談は無料で、補助金の計画書づくりも伴走してくれます。会員でなくても相談できる窓口が多いので、開業したら一度顔を出しておくと情報が入ってくるようになります。
④ 都道府県・市区町村のサイト
自治体独自の制度は国のポータルに載らないことも多く、ここだけの掘り出し物があります。「(自治体名) 補助金 個人事業主」で年に2回(春の新年度予算・秋の補正予算のタイミング)検索するのがおすすめです。

申請の鉄則3つ——ここで失敗する人が一番多い

制度ごとの細かい要件は公募要領を読むとして、どの補助金にも共通する鉄則が3つあります。

  1. 交付決定前に発注しない——補助対象になるのは原則「交付決定日より後」に契約・発注・支払いした経費だけ。採択の連絡が来ても交付決定通知はまだ先、というのもよくある流れです。フライング発注は補助対象外になる、最多の失敗パターンです。
  2. お金は後から入る(精算払い)——補助金は先にもらえるお金ではなく、自分で全額払ったあとに実績報告をして振り込まれるのが原則。立て替え資金は自分で用意する必要があります。「補助金があるから手元資金ゼロでも投資できる」は誤解です。
  3. 実績報告まで終えて初めて入金——領収書・振込記録・成果物の写真などを揃えた実績報告が受理されて、ようやく入金されます。日頃から領収書と帳簿を整理している人ほど、この最終関門が楽になります。

もらったあとの税金——「不課税だと思ってた」が一番危ない

補助金・助成金は、所得税では課税対象(雑収入)です。一方で消費税では不課税という非対称な扱いになっており、記帳のタイミング(入金日ではなく交付決定日)にも独特のルールがあります。パソコンや機械を買った場合に一時課税を和らげる特例もあります。

受給が決まったら、姉妹記事「補助金・助成金をもらったら確定申告はどうなる?記帳・消費税・固定資産の特例まで」を読んでおいてください。申告時に慌てずに済みます。

よくある質問

開業したばかりの個人事業主でも補助金は使えますか?

使える制度はあります。小規模事業者持続化補助金には創業者向けの枠が設けられることが多く、自治体の創業支援金はむしろ開業直後の人が主対象です。一方、確定申告書の提出実績を要件にする制度(デジタル化・AI導入補助金など)は開業1年未満だと申請できない場合があります。制度ごとに要件が違うので、公募要領の「対象者」欄を最初に確認しましょう。

申請は自分でできますか?行政書士などに頼むべきですか?

持続化補助金クラスであれば自分で申請している個人事業主は大勢います。商工会議所・商工会が計画書づくりを無料で支援してくれるので、まずそこに相談するのが定石です。外部の申請代行を使う場合は、成功報酬の相場や実績を確認し、「採択保証」をうたう業者は避けてください。なお代行手数料は補助対象経費にならないのが通常です。

補助金と助成金は何が違うのですか?

おおまかには、補助金は予算と採択件数が決まっていて審査で落ちることがあるもの(経済産業省系に多い)、助成金は要件を満たせば原則受給できるもの(厚生労働省系の雇用関係に多い)です。フリーランス・ひとり事業主が使いやすいのは補助金側で、雇用系助成金は従業員を雇っていることが前提になります。どちらも受け取ったら課税対象になる点は共通です。

審査に落ちたら、もう申請できませんか?

多くの定番補助金は年に複数回の公募があり、不採択でも次回の公募に再申請できます。不採択理由を踏まえて事業計画を磨き直して再挑戦し、2回目以降で採択される例は珍しくありません。商工会議所やよろず支援拠点で計画書のフィードバックをもらってから再申請するのが近道です。

採択される前に、対象の機材を先に買ってもいいですか?

原則NGです。補助金は「交付決定日より後に発注・契約・支払いしたもの」だけが対象になるのが大原則で、交付決定前に買ったものは補助対象外になります(事前着手の特例が用意される場合もありますが例外です)。採択通知と交付決定も別物なので、発注は交付決定通知を受け取ってから。ここは最も多い失敗ポイントです。

補助金がもらえる人は、帳簿がきれいな人

補助金の申請には直近の確定申告書が、実績報告には領収書と支払記録が必要です。つまり日頃の記帳と証憑管理がそのまま「補助金をもらう力」になります。申請のたびに書類をかき集める人と、帳簿からすぐ出せる人の差は大きい。

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